インタビュー02

——ニューアルバム「おっぱじめ!」の収録曲を紹介していきたいと思います。まずは1曲目の「這い上がれMY WAY」。新たなスタートにふさわしいアッパーチューンですが、特に歌い出しの「このままじゃ終われないんだよ…」というフレーズにはグッときました。

みなさんにそう言ってもらえています、この曲は、シングルコレクションのキャンペーンで地元の大分に帰ったときに出来たんですよ。台風で戻れなくなって、仕事も何もない日が1日あったんですね。そのときにいろいろ考えてたんだけど……やっぱりね、地元の人ってすごく応援してくれるんですよ。それを思うと「もっとがんばっていかないとダメだな」って。もっとちゃんと売れたいし、もっともっと有名になりたいっていう気持ちもあるし。そのときの感情を前向きに変換できたのが、この曲だと思うんですよね。あと、地元でゆっくりした時間を過ごすことで、高校生のときみたいな感じで曲作りが出来たんです。「こういう曲が受けるんじゃないか」とか、そういうことをまったく考えず、ワクワクしながら曲を書いて。そういうフレッシュ感も出てると思います。

——「誰かを引っ張って比べて わざわざ落ち込む自分がイヤよ」という歌詞もありますが、他人と自分を比べてしまうことって、いまもありますか。

あるよー(笑)。羨ましいと思うこともあるし、尊敬もするし。尊敬の念と妬みって、表裏一体だったりするじゃないですか。「すごい」「悔しい」っていうのはずっとありますね。でも、それは必要なことだとも思うんですよ。音楽をやっている人を見て、「カッコいいな」とか「悔しいな」って感じるのは。

——続いてはアルバムのリード曲「優しい言葉」。「這い上がれMY WAY」と「優しい言葉」はakkinさんがアレンジを手がけてますね。

この2曲に関しては、akkinさんのなかにある外国人の要素をちょっとお休みしてもらって、「もう少し日本人に寄ってください」ってお願いしたんですよ。

——J−POPのテイストに近づけるということ?

それだけでもないんですよね。そこまでギターを重ねないとか、スネアの音質とか、いろんなイメージを伝えながらアレンジしてもらったので。今回も本当に素晴らしいアレンジになったし、やっぱりakkinさんは天才ですね!

——いまや阿部真央さんの音楽に欠かせないクリエイターですよね。「大人になれば生きやすくなると思っていた」という歌詞も心に残りました。

ホントにそう思ってたんですよね。日々が過ぎていくことにも慣れていくと思ってたんだけど、ぜんぜん逆だった。慣れることとラクになることは違うんだな、と思ったし。生きていれば年を取るし、愛おしさを知れば知るほど苦しくなるんですよね。そういうのは年々重くなっていくかな。でも、この曲では「また元気に歩かなくちゃ」って歌ってるんですけどね。

——3曲目の「麹町」も阿部真央さん以外には歌えない曲だと思います。「麹町って 麹町って 麹町って どっち?」というフレーズ、素晴らしいですね。

いいでしょ?(笑)。東京に来たばかりのときって、道とか電車の名前で説明されることが多かったんですよ。

——「山手通り」とか「日比谷線」とか。

そうそう。わからないんですよね、そんなこと言われても。「麹町って 麹町って 麹町って どっち?」という歌詞は2年くらい前からあって「これ以外にはハマらないなー」って思ってたんですよ。で、ついに着手してみたっていうことですね。この曲、コール・アンド・レスポンスの声が入ってるんですけど、これはファンクラブの皆さんに歌って頂いたんです。去年の11月のファンクラブイベントで収録したんですけど、皆さんすごく歌が上手くて。そこも聴きどころですね。

——「それぞれ歩き出そう」は映画「小野寺の弟・小野寺の妹」の主題歌として制作されたシングル曲。

アルバムのなかにもいい感じでハマってると思います。この曲は映画のために書き下ろした曲だから、“ご縁から生まれた”という感じなんですよね、私のなかでは。「この曲が好きです」っていうファンの方も多いし、またひとつ大事な曲が増えましたね。

——そして「words」はAimerに提供したバラードナンバーのセルフカバー。

この曲を書き始めたときは、提供の話はまったくなくて。家のダイニングテーブルでサビの「『愛してる』とは なんと無力な言葉だろう」フレーズが出てきて、その瞬間に「これはAimerが歌ったら最高だな」って思ったんです。そしたら、ホントに楽曲提供の話をいただいて。Aimerさんが歌うことで完成すると思ってるんですよね、この曲は。私のカバーはあくまでも“アナザーバージョン”ということですね。自分で歌ってみると、すごく難しい曲でした。音階の変化が多いんですよね。Aimerさんには大変なことをさせてしまったと思いました。でも、本当に最高ですよね、Aimerさんは。

文・森朋之