インタビュー03

——アルバム後半は、切ないラブソング「深夜高速」から。希望が見えない恋愛に溺れる“僕”が主人公ですが、この歌詞はとても良いですね。こういうテイストの曲もいままではなかった気がします。

別れる前って「このまま付き合っていても意味がないな」と感じると思うんですよ。ふたりでいても煩わしいと思うときが増えたり、「触れ合っているのに、余計に寂しい」っていう虚無感を覚えたり。私自身にこの歌詞みたいな経験はないので、フィクションに近いんですけどね。

——作家的な書き方をしたということ?

「寂しさが埋められない」という気持ちだけはリンクしてるけど、それ以外は頭で考えて書いてるかも。そういう歌詞を褒めてもらえるのは嬉しいですね。こういう書き方も意外とイケるかも!って。ただ、感情のままに書き殴ってリリースするタイプではないと思いますけどね、昔から。いつも考えてるところはあるんじゃないかなって。

——「Hello,Jewelry Smile」60年代洋楽っぽいメロディも新鮮でした。

これはね、歌詞から入ったんですよ。最近、出産する友達が増えてきて、小さい子たちと接する機会が増えてるんですね。キッズたちを見てると「この子は将来、どんな恋をするのかな」とか「傷つくこともあるだろうけど、いっぱい恋をしてキレイになってほしいな」って思うんですよ。何よりも「そのキラキラした笑顔を忘れないでほしい」って思うし…。そんなことを考えているときに「Hello,Jewelry Smile」というフレーズを思い付いたんですよね。

——そして「Marry me baby I love you」。これはもちろん、ウェディングソングですね。阿部真央さんも結婚を発表したばかりだし、リスナーのみなさんも気になってる曲だと思うんですが。

そんな気にしないでいいような位置に持ってきたんでね(笑)。まあ、この曲は「いまを逃すと発表できないな」って思ったので。彼(飯塚啓介)が編曲しているし、「いいんじゃない? やりましょう」という感じです。

——あっさりしてますね(笑)。結婚して、心境の変化みたいなものはありました?

自分の存在をそのまま受け止めてくれる人と出会えたのは大きいですね。「認めてほしい」という欲がとても強かったから、そこを満たしてくれてるという感じはします。着飾らなくてもいいっていうかさ。

——「メールのお尻にハートマーク」も飯塚さんのアレンジ。歌詞もサウンドもキュートですね。

メールの最後にハートマークを使う男の人に言いたいんだけど、ちょっと軽く使い過ぎだと思うんですよ。女子としては「このハートはどういう意味だろう?」って考えちゃうんですよ。で、思い切って食事に誘ったりしたら「予定が入った」とか「時間が読めない」とか。ハートマークの責任を感じて!っていう歌ですね(笑)。

——そうか、女子はそんなふうに考えるんですね。

いや、私だけかもしれないけど(笑)。ひとつの絵文字に左右される女の子もいるってことを考えてほしいですよね。

——続く「always」は切なさたっぷりのミディアム・バラード。この曲の根底にも「愛しい人との時間はいつか終わる」という気持ちが流れてますね。

うん、そうですね。「それまでをどう過ごすか」というのはずっと感じてることなので。どれだけがんばっても「もっと愛してあげればよかった」という後悔は生まれると思うんです。でも、相手が先に召されたときは「これだけ時間をかけて愛を与え合ったんだから、大丈夫」ってお互いに思えるようになりたいなって。

——「Believe in yourself」はNHK Eテレ アニメ「ベイビーステップ」のオープニングテーマ。「バカにされる事はあっても バカにだけはしない事。」という歌詞は何度聴いても惹きつけられます。ネットとかを見てると、本当にひどい言葉が並んでるので…。

ひどいよね。「なぜ?」って思うけど、そうすることで満たされてると勘違いしちゃうんだろうね。実際は満たされてないから、同じことを繰り替えちゃうんだろうけど、でも、そういう気持ちは誰にでもあると思うんですよ。それに気づいて、自分を信じてがんばろうと思えればいいんだけど。

——ライブでも定番曲になりつつありますね。

うん。武道館でも一発目にやったしね。ただ、この曲は意外と難しいのよ(笑)。

——アルバムの最後を飾るのはフォーキーな手触りの「相模ナンバーのグランドキャビンに乗って」。

私のいちばんのお気に入りです! 家の前に相模ナンバーの車が止まってたことがあって、「あの車って、何て言うの?」って聞いたら「グランドキャビンだよ」って教えてくれて。そのときに出来た曲です(笑)。こういう曲って楽しいんですよねー。

——最後にアルバムリリース後に開催される全国ツアー“阿部真央らいぶ No.6”について。ライブにおいても“ここから新たなスタート”という感覚はありますか?

そうですね。去年は全国ツアーが出来なかったから、地方のファンの方のなかには「2年ぶりの阿部真央のライブを見る」という人も多いと思うんです。楽曲の変化もそうだし、自分自身のパフォーマンスの変化を感じてもらえるようなツアーにしたいですね。やっぱりね、武道館のライブを経てだいぶ変わったと思うんですよ。緊張していても、堂々とライブができるようになったというか。その感覚をさらに強くしてくれたのが、このアルバムだと思うんですよね。

文・森朋之